【徒然読書日記】 その47 ウエスト・ウイング
- 作者: エドワードゴーリー,Edward Gorey
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2002/11/01
- メディア: 単行本
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この本に言葉はなく、妖しい風景のみが
坦々と続いている。
大人向けのホラー絵本作家エドワード・ゴーリー
の作品の中でも個人的に特に好きな1作です。
子供の死を描くことが多いゴーリーですが、
この作品は唯一文章が一文字もなく、
本当に絵だけの本です。
けれどその不気味さは随一だと思っています。
絵だけだからこそ、受け手の感じ方一つで無数の
ストーリーを紡ぐことができます。
「ウエスト・ウイング(西棟)」というタイトルからは
どこかの廃屋に迷い込んだ誰かの視点と思えます
が、ところどころ見える人物や影は一体なんなのか。
ウエストがあるなら東棟は?
主観者には一体何が起こっているのか。
個人的には表紙の無数の窓から覗いた先には、
まったく違う光景が広がっていた。というストーリー
などを考えていました。
私は読み手の中で完成する多様さというのが、本の
美しさの一つだと思っています。
自分のなかで広がり続ける物語というものを、
堪能させてくれるこの作品は私の心に強く
印象が残っています。