【徒然読書日記】 その45 ラブセメタリー
近年LGBT問題が大きな話題となり、昔と比べ同性間
での恋愛が日の目をみるようになってきました。
そんな変化の時代にあってなお、決して社会からは
認められないだろうと言われている愛が二つあります。
それが近親愛と小児性愛です。
本作は異なる人物の視点から、小児性愛者の人々を
描いたものだ。異常とされる愛欲を持ち、社会の
レールから外れてしまった者・その愛欲に苦しむ者・
彼らを外側から観測する者。そこから見出されるのは、
この愛はどうしたところで幸福を齎すものではない
ということだ。
「僕は思うんだよ。子供にしか欲情しない人間に
ならなかった幸運を、みんなもっと享受するべきだ
ってね。」
作中にてある人物が語った言葉だが、社会において
人から認められない秘密を抱えることは、確実に
不幸の種となる。社会と異なる個性を持った者は、
人とは違う自分なりの生き方を見つけなければならない。
そんなことを考えさせられた作品でした。
近親愛については以前「私の男」と「奇子」で
言及していますので、よろしければ一度見てみてください。