【徒然読書日記】 その44 蒼ざめた馬

 

蒼ざめた馬 (岩波現代文庫)

蒼ざめた馬 (岩波現代文庫)

 

 先日の「ジョーカー」を視聴して、

tatarianaster.hatenablog.com

犯罪者や鬱屈した社会を描いた作品を読みたくなり昔読んだ作品を引っ張り出してきました。

 

それは「蒼ざめた馬」。本職テロリストが執筆した革命活動のために過ごす日々を描いた作品です。

 

舞台は1900年代初頭のロシア。主人公は革命を志す社会主義者達の一人。革命後の社会を夢見ながら、殺人や想い人との別離に苦しむ若者だ。当時の社会が醸していた雰囲気というものを現代の我々は想像することしかできないが、社会への不満と怒りそしてよりよい未来を望んでいたことは伝わってくる。

タイトルがヨハネの四騎士をモチーフとしているように、本作の登場人物達はキリスト教の思想を強く持っている。理想のために血を流し続けなければならないことに苦悩し、良くならない現状に苦しみながら革命者としての道を歩んでいく。

 

社会の表舞台に背を向けて、殺人を引き留められながらも止まることはできない。そうして進み続けた社会主義者達の行く末を現代の私たちは知っているのだ。

一度この切なさと苦しみを、あなたの手で思い出してあげてください。