【徒然読書日記】 その22 帰ってきたヒトラー

 

帰ってきたヒトラー 上 (河出文庫 ウ 7-1)

帰ってきたヒトラー 上 (河出文庫 ウ 7-1)

 

 

衝撃的なタイトルに一体どんな内容だろうかとまず身構えるが、ジャンルはなんとコメディー!ますますどんな内容なんだと興味を引かれた。

2015年に上梓され、翌年には日本訳されるという人気ぶり!

 

内容としては突如現代にタイムスリップしたヒトラー(正真正銘の本人!)がそっくりさんと勘違いされながらテレビデビューを果たし、世界的な人気エンターテイナーになるというもの。確かにコメディーチックな面も多く笑ってしまう場面も多いが、ヒトラーが再び現代において人々の支持を得て勢力を増していく姿には空恐ろしいものを感じる。

 

ドイツにおいてナチスヒトラーを称賛するような言説は犯罪とされる。民主主義国でありながら言論制限があるというのは敗戦国ゆえの歪みであろうか。敗戦後の日本もWGIPによって数々の言動が規制されてきたが、ドイツはそれが現在進行形で根強く残っている。

そんなドイツにおいて、このような作品が発表されあまつさえ人気を博しているということにまず驚いた。作品を通してドイツという国の感じられる作品だった。

 

映画化もされこちらも非常におもしろい。

なんとニコニコ動画でネタにされるシーン(もともとは別のヒトラー映画)のオマージュ作というサプライズが隠されている。