【徒然読書日記】 その25 誰も戦争を教えられない

 

誰も戦争を教えられない (講談社+α文庫)
 

 

戦争というものの捉え方は一つではない。

時代によって、国によって、人によって。様々な伝え方が世界にはある。

 

社会学者の古市憲寿氏が複数の国の戦争・平和博物館を回りながら戦争の表現の違いを述べる書籍だ。日本において平和博物館といえば死者や過去を悼む厳かな場所だ。けれど国によっては楽しめるテーマパークであったり、政府の功績として国威発揚の啓発所であったりと接し方は様々だ。個人的に面白かったのはイタリアで、平和博物館はないのにパスタ博物館はあったり、日本・ドイツと同盟国であったはずなのに戦勝国でもあるといった話は初めて目にして興味深かった。

 

特異な言動でしばしば賛否両論をまき起こす人物だ。今回の書についてもやや偏った見方や政治的要素の絡む展示などを鵜呑みにした感想を述べていたりと個人的に思う点はいくつかあった。けれど日本以外での戦争の扱われ方という視点は面白い。ぜひ一度読んでみてほしい。