【徒然読書日記】 その24 誰がコマドリを殺したのか?

 

 

イギリスの作家イーデン・フィルポッツ作のマザーグースWho killed Cock Robin?」をオマージュした古典ミステリー。

作者のイーデン・フィルポッツアガサ・クリスティーの家の隣に住んでおり、クリスティーに対してアドバイスをしたこともあるとか。

タイトルからは寓話か何かと思われる方もいるかもしれないが、渾名がコマドリミソサザイという姉妹と1人の男性医師を中心とした恋愛要素強めのサスペンスといった作品。

けれど本作は最初期のマザーグースオマージュ作品であり、タイトルにもしっかりと意味がある。全て読み終えたとき、タイトルを見返すとある種の余韻のようなものを楽しめる。

 

カズオ・イシグロさんなどもそうだが、イギリス作家の作品は描写の繊細さが際立っていると感じる。フィルポッツも田園小説家と評されるが、風景や周囲の状況を美しく表現しており、情景を思い浮かべながら読んでいくと味わい深い。

1924年の作品ということで、ミステリーとしてはやや使いふるされたトリックと感じる点があるかもしれない。田園小説や人間関係を描いた作品として観たほうが楽しめるだろう。

 

ちなみに私はマザーグースのオマージュミステリーと聞くと「うる星やつら」の孤島の殺人事件が思い出されます。そちらも「Who killed Cock Robin?」をオマージュして見立て殺人が行われていました。