【徒然読書日記】 その35 3月のライオン

 

 「どうして人というのはこんなにも忘れっぽいんでしょう。

 こんな風にたくさんの人生の最期を見送ってきているのに、どうして もっともっと

 もっと切迫感をもって生きられないんでしょう」 - 滑川臨也

 

前回、羊と鋼の森を紹介【徒然読書日記】 その34 羊と鋼の森 - Tatarianasterのブログ

していて、ふとこのキャラクターを思い出した。

喪服の将棋棋士 滑川七段

相対する棋士が必死になっている姿に引き込まれる一方で、自身の将棋に引き込むような輝きを見いだせないと苦悩する男。上記のセリフは実家が葬儀屋をしている関係で多くの人の死や無念を目にしながら、日々の生活に慣れてしまい自分は必至にりきれていないという気持ちを吐露した言葉だ。将棋のプロという才能と強い意志を持ち合わせた人々が火花を散らす環境にいるがゆえにその気持ちは一層強いものだろう。

 

誰よりも将棋と棋士を愛している彼が、それでも自分を純粋でないと卑下する姿は、我々に生きるということ、夢を追求するということの難しさを伝えてくれる。

 

とここまで滑川さんを紹介してきたのですが、これで3月のライオンの紹介だと言ったら嘘になってしまいます。彼主人公ではありません(笑)。それどころか現在152話中、5話程度しか出てきません(笑)。けれどもこれだけの濃さがあります。

将棋棋士の一生とはそれだけ重いのです。普通の人々がいろいろなことを楽しみながら一生を過ごすのに対し、棋士の人々は将棋で負ければ収入を失い、居場所も失うのです。今回は私が一番好きな滑川七段を中心に話しましたが、本当の主人公 中学生棋士:桐山くん、夭折した天才棋士 村山聖さんをモデルとしたライバル棋士:二海堂くんなど魅力的な棋士がたくさん出てくるので、ぜひその目で確かめてみてください。

2019年7月時点で14巻まで発売されています。

 

 

 滑川七段と二海堂五段が活躍する13巻!おすすめです