【徒然読書日記】 その28 地球にちりばめられて

 

地球にちりばめられて

地球にちりばめられて

 

 

旅に出たくなる本というものがある。

殊に外国、異なる文化を体感したいと思えるような本が。

昨日紹介した「流」も台湾や中国への興味を掻き立てる書であったが、本書はそれ以上にヨーロッパへと旅したいと思わせる。

独自言語でヨーロッパを旅する女性、言語研究生の青年、日本人のふりをして片言の日本語を話すアジア人など特殊な背景をもった人々が旅の途中で出会いながら奇妙な物語を紡いでいく。ここまでの紹介でわかるだろうが、登場人物達は「言語」というものを一つのキーワードとして関係を築いていく。ヨーロッパは基板となる言葉は近しいため正確ではなくとも意味が伝わるというロジックなのだが、実際どの程度伝わるものだろうか。

屈折したようにも感じられる文化への執着や文化への哲学は文化交流の楽しみの一つでしょう。