【徒然読書日記】 その3 イノサン
処刑人シャルル・アンリ・サンソン。その生涯を描いた漫画作品です。
なによりも驚かされるのはその作画。絵画を思わせる描写、舞台を連想させる構図、暗喩的な表現を用いることで作品に深みを与える。ストーリーについても貴族社会における格差、理想と現実との乖離に苦しむ人々、そして命の尊厳と大きなテーマをいくつも含んでいます。実際に存在した社会と人々を描いているのでけっしてご都合主義に流れることはありません。漫画というジャンルの一つの到達点ではないかと思います。
世界的にも注目を集める作品でルーブル美術館の企画、バンド・デシネ ルーブルNo.9
(第九の芸術)に荒木飛呂彦さんや谷川ジローさんと共に各地のアートセンターなどで展示をされています。また舞台化を決まっており、日本だけでなくフランスでも2020年に公演されるそうです。そちらの分野に関心がある方も楽しめるかと思います。